変数
変数の概要
変数とは、値を入れておくことができる箱のようなものです。
プログラム中で使いたい値(例えば、名前や数値など)を保存しておくことで、あとでその値を簡単に参照したり操作したりすることができます。
変数の宣言
JavaScriptでは、変数を使うためにはまず「これは変数です」という宣言が必要です。宣言することで、その変数をプログラム中で使うことができるようになります。
宣言方法に、 const(コンスト)、let(レット)、var(バー)の3つがあります。
下記例の「変数名」の部分は、自分で好きに設定することができます。
var 変数名 = 値;
let 変数名 = 値;
const 変数名 = 値;
初めての変数
下記例を入力しブラウザで表示すると、コンソールツールに「Hello World!」と表示されます。
宣言以降の変数nameは全て「Hello World!」になる。
var name = 'Hello World!';
console.log( name );
変数の宣言と代入
初めに変数を作成することを宣言といいます。
変数に値を設定することを代入といいます。
宣言した変数に値を設定し直すことを再代入といいます。
一度宣言した変数を、同じ変数名で宣言し直すことを再宣言といいます。
var name = '電ビ太郎'; // nameを宣言し代入する
console.log( name ); // 電ビ太郎と出力される
name = '電ビ花子'; // 再代入する
console.log( name ); // 電ビ花子と出力される
var name = 'デンビジウ'; // nameを再宣言し再代入する
console.log( name ); // デンビジロウと出力される
変数名の付け方とルール
変数の名前をつける際には以下のようなルールがあります。
- 半角のアルファベット、_(アンダースコア)、$(ダラー)、数字が使用できる
- 1文字目は数字以外にする
- 大文字と小文字は区別して認識される
- 予約語と同じ名前にしない
予約語とは
予約語とは、以下のような単語のことで、同じ名前は変数に使えません。
- 何らかの意味や機能がある言葉
- 過去に機能が存在したが、廃止された言葉
- 将来の仕様改定に備え、予約してあるだけの言葉
つまり、「それは、もう役割決まってるから好きに使わないでね」になっている単語のことで、予約語を使った場合、エラーになる。
例) break, case, catch, class, const, continue, debugger, default, delete, do, else, export, extends, finally, for, function, if, import, in, instanceof, new, return, super, switch, this, throw, try, typeof, var, void, while, with, yield など
データの種類
データとは
変数に代入していた値には、様々な種類があります。
JavaScriptでは、データを扱うために様々な「データ型(データタイプ)」があります。データ型は、プログラムがどのような値を扱っているかを決定するものです。
以下はその基本形で、特に数値、文字列、真偽値はよく登場します。
項目 | 意味 | 説明 |
---|---|---|
number(ナンバー) | 数値 | 整数、少数、正負などの数値を表すためのデータ |
string(ストリング) | 文字列 | 文字の集合を表すためのデータ。 シングルクォーテーションかダブルクォーテーションで囲む |
Boolean(ブーリアン or ブール) | 論理値・真偽値 | 真 (true) または偽 (false) の値を表すためのデータ。 trueとfalseがある。 |
null(ヌル) | 空 | 値が存在しないことを表す特別なデータ |
undefined(アンディファインド) | 未定義 | まだ値が代入されていない、未定義のデータ |
数値
数値とは
数値型は、整数や小数、マイナス値などの数値を扱うためのデータ型です。
演算子を使って足し算、引き算、掛け算、割り算、乗除の計算もできます。
var number = 1; // 数値の1
var number = '1'; // 文字列の1
変数に数値を代入する場合には、上記のように記述します。
シングルクォーテーションで数字を囲むと、数値ではなく文字列になるので注意してください。
計算を行う
数値型では、基本的な四則演算(+、-、*、/、%)を使って計算が可能です。
普通の算数と同じルールが適用され、掛け算や割り算は優先して先に計算され、カッコをつけて計算することもできます。
変数が数値であれば、変数と数値、変数と変数でも計算ができます。
var number = 1 + 1; // 足し算
var number2 = 10 - 8; // 引き算
var number3 = 5 * 2; // 掛け算
var number4 = 10 / 2; // 割り算
var number5 = 10 % 3; // 乗除
文字列
基本の使い方
文字列とは、JavaScriptでテキストデータを扱うためのデータ型です。
単語や文、さらには数字や特殊文字など、テキストとして扱いたい情報をまとめたものです。
文字列を扱う場合、「''(シングルクォーテーション)」、もしくは「""(ダブルクォーテーション)」で囲います。
本授業ではシングルクォーテーションで統一します。
var name = '電ビ太郎'; // 文字列。シングルクォーテーションで囲む。
文字列の結合
複数の文字列を結合するには、+ 演算子を使います。
文字列間のプラスは結合の意味になります。
数値と同様に、変数が文字列であれば、変数と文字列、変数と変数でも結合ができます。
var name = '電ビ太郎';
console.log( 'こんにちは' + name + 'さん' );
特殊な文字を使用する
特殊な文字とは、改行やタブ、シングルクォーテーションの中のシングルクォーテーションなどのことです。
文字列の中で特定の特殊文字を使う場合、エスケープシーケンスを使用します。
エスケープシーケンスとは、\(バックスラッシュ)と組み合わせて特殊文字を表現します。
例えば、下記の場合エラーになります。
これは、JavaScriptが文字列での改行ではなく、プログラムでの改行だと判断するためです。
console.log( 'こんにちは
電ビ太郎さん' );
しかし、下記のようにエスケープシーケンスを使用すると問題なく表示されます。
console.log( 'こんにちは\n電ビ太郎さん' );
エスケープシーケンスの種類
記号 | 説明 |
---|---|
\n | 改行 |
\t | タブ |
\' | シングルクォーテーション |
\" | ダブルクォーテーション |
\\ | バックスラッシュ |
変数のメリット
変数のメリット
値の再利用
プログラム内で値を保持し、必要に応じて再利用できる
コードの読みやすさ
変数を使うことで、コードの可読性が向上する。
変数名を適切に命名することで、コードの意図や目的が明確になる。
値の再利用を体感する
何かのチケット1500円の1人、3人、5人の金額をコンソールログに出力したい時、下記のように一つずつ直接入力する方法があります。
console.log('チケット1人分の金額は1500円です');
console.log('チケット2人分の金額は3000円です');
console.log('チケット5人分の金額は7500円です');
しかしこれでは、プログラム的ではありません。
変数や数値計算を利用することで、頭の中で計算する手間や計算ミスなどがなくなります。
仮にチケットの値段が変更しても、変数priceの数値のみの変更で済み 容易に変更できます。
var price = 1500;
console.log('チケット1人分の金額は' + price + '円です');
console.log('チケット2人分の金額は' + price * 2 + '円です');
console.log('チケット5人分の金額は' + price * 5 + '円です');
配列
配列とは
配列とは、JavaScriptで複数の値をまとめて格納・管理するためのデータ型です。
配列を使うことで、1つの変数に複数のデータを保存し、必要に応じてそのデータを順番に取り出したり、操作したりすることができます。
リストやコレクションのようなデータ構造と考えると分かりやすいです。
配列の宣言方法
配列は、角括弧 [] で囲み、各要素をカンマ(,)で区切って作ります。
配列の要素には、文字列や数値、さらにはオブジェクトや他の配列を入れることができます。
var 配列名 = [値1,値2,値3....];
配列の例
配列は、角括弧 [] で囲み、各要素をカンマ(,)で区切って作ります。
配列の要素には、文字列や数値など、任意の型の要素を入れることができます。
var strings = ['a','b','c'];
var numbers = [1,2,3];
var fruits = ['orange','apple','banana'];
配列からデータを取得する
配列の要素には下記方法で取得・アクセスします。
配列の中の値に振られる番号は、1からではなく0からです。
配列の中の1番目の値は、配列での順番では0番目になり、2番目の値は1番目です。
存在しない要素へアクセスした場合には、undefinedが返ります。
配列名[データの番号]
var fruits = ['orange','apple','banana'];
console.log( fruits[0] ); // orageと表示される
配列の中に入っているデータの数を取得する
下記方法で、配列の中に幾つのデータが入っているのかを取得できます。
配列名.length
var fruits = ['orange','apple','banana'];
console.log( fruits.length ); // 3と表示される
ダイアログボックス
ダイアログボックスとは
ダイアログボックスとは、JavaScriptでユーザーにメッセージを表示したり、入力を求めたりするためのポップアップウィンドウです。
ダイアログボックスは、ブラウザの機能を使って簡単に表示できます。主に以下の3種類のダイアログボックスが用意されています。
警告ダイアログボックス(alert)
alertは、メッセージをユーザーに表示するためのシンプルなダイアログボックスです。
ユーザーが「OK」ボタンをクリックするまで、他の操作ができません。通知や警告を表示したい場合に使います。
alert('これはアラートボックスです');
確認ダイアログボックス(confirm)
confirmは、ユーザーに「OK」または「キャンセル」を選ばせるダイアログボックスです。
ユーザーが選んだ結果は true または false で返されるので、その結果に基づいて処理を行うことができます。
var name = confirm('あなたは電ビ 太郎さんですか?');
console.log( name );
入力ダイアログボックス(prompt)
promptは、ユーザーにテキスト入力を求めるダイアログボックスです。
入力された値が文字列として返され、ユーザーが「キャンセル」をクリックした場合は null が返されます。
var name = prompt('名前を入力してください');
console.log( name );
読みやすいコードのコツ
読みやすいソースコードは、自分や第三者が後で見直したときに理解しやすく、保守しやすいコードです。
以下のコツを守ることで、ソースコードの可読性を高めることができます。
コメントを適切に使う
コードにコメントを加えることで、複雑な部分や処理の意図を説明できます。
ただし、コメントは必要な部分だけに書くようにし、わかりやすいコードには過剰にコメントをつけないようにします。
// 消費税率を変数で管理
var tax = 1.1;
スペース、タブを活用する
見やすさ、読みやすさをアップするためにスペースやタブを使用します。
// スペースが揃っていない
var name ='電ビ太郎';
var school = '熊本電子ビジネス専門学校';
// スペースが揃っている
var name = '電ビ太郎';
var school = '熊本電子ビジネス専門学校';
適切なインデントを使用する
インデント(字下げ)は、コードの構造を視覚的にわかりやすくするために非常に重要です。
// インデントなし
function hello(){
console.log('こんにちは');
}
// インデントあり
function hello(){
console.log('こんにちは');
}
わかりやすい名前を使う
変数名は、内容を明確に説明するものを使いましょう。
名前から役割がわかるようにすることで、コードの理解がしやすくなります。
// わかりにくい名前
var name1 = '電ビ';
var name2 = '太郎';
// わかりやすい名前
var lastName = '電ビ';
var firstName = '太郎';